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CMJKの東京サイバーパンク回顧録
その⑤ 世田谷

ミュージシャン・作曲家・編曲家・音楽プロデューサー・DJ

CMJK

世田谷は住んでいたこともあるし住んでいなかったこともあるのですが、区内の文化的中心エリア下北沢や三軒茶屋でのレコーディングやリハーサル後飲みに行くというルーティンを長年やってきましたし、行きつけの飲み屋さんも何件もあるので、自分にとってはいつも身近なエリアでした。

地方に行って現地の方と飲む機会があると「いつも東京のどのへんで飲んでるんですか?やっぱり六本木とか西麻布ですか?それか新橋ですか?」と聞かれることが度々ありました。地方の方からしてみたら東京で飲むといえばおしゃれに飲むなら六本木・西麻布、カジュアルに飲むなら新橋というイメージがステレオタイプなのでしょう。(East Tokyoのせんべろカルチャーっていう重要なのもあるのですがディープ過ぎて地方の方が誰でも知っているわけではないようです)
「何年か前までは六本木とか西麻布でもよく飲んでましたし新橋もたまに行きますが最近は飲むなら世田谷の下北沢とか三軒茶屋とかですよー」と言うと驚くべき答えが返ってくることがありました。1回2回ではありません。異口同音に、何回もこれを言われて愕然としました。
「世田谷って世田谷一家殺害事件があったところで、地獄みたいなところなんですよね!?」
地方の多くの方が世田谷イコールこのイメージであることに驚くしかありませんでした。
「世田谷は住宅街でサザエさんの舞台でもあって、下北沢も三軒茶屋も六本木や西麻布よりラフに普段着感覚で飲みに行けるし、のんびりしていて良いエリアで、全然不穏な雰囲気じゃないんですけどね〜」といくら言っても
「え〜、、、嫌だな〜怖いな〜」と稲川淳二氏の怪談語りみたいなリアクションしか返ってこないのでした笑。

しかしそんなのんびりした世田谷にもぼくが思うに一つだけ、不穏で荘厳で怖くすらあって、やがてそれがとてもかっこよく思えてくるサイバーパンク〜スチームパンクな空間がありました。大正13年(西暦1924年)今からちょうど100年前に建設された「駒沢給水塔」です。

『高さ30メートルの塔屋には王冠を連想させる装飾電球が付けられ、軽やかな特徴あるトラス橋で両塔が結ばれているこの独特な設計は二度のヨーロッパ出張で得た中島博士の卓越した土木建築デザイン感覚によるものであります。かつて、江戸川乱歩が怪人二十面相のアジトのモデルにしたというのもうなずけます。 (世田谷ホームページより抜粋)』

行くとわかるのですが、とにかくここは、ここだけ、時間が止まっています。昭和〜平成に生まれ令和を生きている日本人なら誰もがジブリの「ラピュタ」を思い起こすことでしょう。
夜は怖くて行ったことないのですが笑、夜は夜で電飾が灯ってそれはそれは荘厳で異空間な雰囲気が際立つそうです。
給水塔としては当然既に現役ではないので取り壊しが行われても不思議ではないのですが、平成24年に「土木学会選奨土木遺産」として駒沢給水所(配水塔・配水ポンプ所)が都内で唯一認定されたそうです。水道の歴史的遺産としても地域の風景と共に給水塔を残していくために「駒沢給水塔風景資産保存会」通称「コマQ」が平成14年から活動していらっしゃるとのことです。

もちろん東京タワーを筆頭に、こういう東京の文化・文明の歴史的建造物って地域の方の心の拠り所でもありますし、いつまでも残しておいて欲しいですよね。

100年前の建造物と緑が共存する景色はまるでラピュタそのものです

ここだけ時間が止まっています

正に異空間

転載元: https://tta-keikaku.jp/ より

Profile

CMJK

1967 年 8 月 21 日 宮城県仙台市出身
ミュージシャン、作曲家、編曲家、音楽プロデューサー、DJ。
1991 年に電気グルーヴのメンバーとしてデビュー。
その後 Cutemen、CONFUSION といったユニットで活躍し、1990 年代の日本のテクノ、クラブシーン黎明期の礎の一翼を担った。さらに浜崎あゆみ、DREAMS COME TRUE、SMAP、Kis-My-Ft2、V6、私立恵比寿中学、アンジュルム、Juice=Juice、など多数のアーティストのサウンドプロデュースを手がける。
2016 年にはファッションブランド「BEAMS」創業 40 周年を記念したプロジェクトとして、40年間の東京のカルチャーをファションと音楽という2つの視点から振り返るミュージックビデオ「TOKYO CULTURE STORY 今夜はブギー・バック(smooth rap)」のサウンドデザインと編曲を担当し、2017 57th ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSにてゴールドを受賞した。
そのほか映画、ドラマ、アニメ、CM 音楽、ファッションショーの音楽の制作等々、多岐にわたって活動中。

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